MYLANのディレクター、佐々木敬子が、北アルプスの自然と共にクリエイティブな生活を営む友人夫妻の住む湖畔へと足を運ぶようになったのは、今から数年前のこと。そこはかつてクリスタルが採れたという、湖と森の景色が眼前に広がる風光明媚な土地。陽が昇れば、光を受けた湖面がさざ波の揺らぎとともに煌めきを放ち、夕暮れにさしかかると、空は水色から薄紫、そして茜色へと徐々に表情を変えていく。そんな自然をダイレクトに感じられる場所で、清らかな風がすうっと通り抜けていくような心地よさと、この世のものとは思えないほど美しく澄み切ったエメラルドグリーンの湖に、一瞬にして魅せられてしまったといいます。
そしてあるとき、その友人夫妻から手渡された一冊の写真集。そこには、標高3000mの雪山の中腹にある小さな湖の上で、水しぶきをあげながら滑走し、雪化粧をほどこした山の尾根をすべるスノーボーダーの姿がありました。そのダイナミックな躍動感や、雄大な自然と人間との一体感を感じさせる光景に感動。これを撮影したカメラマンのGaku氏に、MYLANのコレクションを撮ってほしいとお願いすることになったのです。
そんな経緯を経て今回、友人夫妻が主宰するクリエイティブエージェンシー「SNOW」のディレクションのもと、MYLANの新作コレクションを用いた作品が完成しました。そのビジュアルと文章から垣間見えるのは、これまでのブランドのイメージとは少し異なる静謐で神秘的な世界観。MYLANのまた新たな扉を開けるきっかけがここから始まります。
Water Asension
3000m級の山々に囲まれた北アルプスの地には、あらゆる技術を持つ山の種族が棲んでいる。
彼らは、過酷な環境の中で命がけの遊びを繰り返す。そしてそこでしか見えない景色、感じれない境地を現像化する作家がいる。
彼の名前は原田岳。職業はカメラマン。
長年スノーボードカメラマンとして活躍する傍ら、雪山の奥の院に潜む種族たちの密かな遊びを撮り続けている。
雪解けの季節にだけ現れる水上をスノーボードで滑走する“水渡り“だ。
地上の民では聞いたことも見たこともない遊び。
命を引き換えに地球と共鳴した刹那。
それは見るものを圧倒する。
一見、全く違うアプローチで地球と接するMYLANと原田。
しかしこの両者の出会いは地球からのギフトかもしれない。
そこで生まれた透明で純粋な雪解け水のような世界と物語は、見る人たちの心に沁み込んで行くことでしょう。
Directed by : @_snow_gk_official
Photographed by : @makepeacelab
北アルプスを背景にした圧倒的自然の中から、長年東京で活動してきた2人による都市のやり方とは違うアプローチを駆使しながら新しい価値のクリエイティブをアップデートしています。
そして今年、「FAREASTSNOWATTITUDE」という世界初となる水渡りだけの作品集を発表。未知の世界を凝縮した内容で各方面において大きな反響を得ています。